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アレルギー性鼻炎

公開日:2025-10-15 最終更新日:2026-01-04

花粉症の相談室(花粉症のFAQ)

アレルギー性鼻炎は、特定のアレルゲン(抗原)に対する過剰な免疫反応によって引き起こされる鼻粘膜の慢性炎症疾患です。日本でも患者数の増加が報告されており、まさに「国民病」と言える状況です。くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、鼻掻痒感(鼻のかゆみ・ムズムズ)の4つの主要症状が特徴で、特に春のスギ花粉症は非常に多くの方が悩まされています。適切な診断と治療により、症状を効果的にコントロールし、日常生活の質を向上させることが可能です。

アレルギー性鼻炎とはどんな病気ですか?

アレルギー性鼻炎は、特定のアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)に対する過剰な免疫反応によって引き起こされる鼻粘膜の炎症性疾患です。日本でも患者数の増加が報告されており、まさに「国民病」と言える状況です。

主な症状は、くしゃみ、鼻汁(鼻水)、鼻閉(鼻づまり)、鼻掻痒感(鼻のかゆみ)の4つです。これらの症状は、アレルゲンに触れた後数分以内に現れ、数時間続くことが特徴です。また、眼のかゆみや涙目(アレルギー性結膜炎の症状)、頭痛などの症状を伴うことも少なくありません。

アレルギー性鼻炎は、症状の出現パターンにより大きく2つに分類されます。季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)は、スギやヒノキ、イネ科植物などの花粉が原因で、特に春先のスギ花粉飛散期に症状が集中します。通年性アレルギー性鼻炎は、ダニやペットの毛、カビなどが原因で、一年中症状が続きます。

症状が軽い場合は日常生活に大きな支障はありませんが、重症になると睡眠障害や集中力低下を招き、学業や仕事の能率が下がることがあります。特に春先の花粉飛散期は、多くの方が症状に悩まされ、日本の経済的損失は非常に大きいとされています。

どうしてアレルギー性鼻炎になってしまうのですか?

アレルギー性鼻炎の発症には、遺伝的な体質と環境要因の両方が関与しています。家族にアレルギー性鼻炎や喘息、アトピー性皮膚炎の方がいる場合、アレルギー性鼻炎を発症する可能性が高くなることが知られています。

環境要因としては、花粉やダニ、ペットの毛などのアレルゲンへの曝露が主な原因です。また、都市化に伴う大気汚染(PM2.5、NO2など)も、アレルギー性鼻炎の発症や症状の悪化に関与することが知られています。生活様式の変化として、室内居住時間の増加、高気密・高断熱住宅の普及、食生活の欧米化なども影響していると考えられています。

アレルギー反応のメカニズムは、まずアレルゲンが鼻粘膜に侵入し、体内で特異的なIgE抗体(アレルギー症状と関係する”悪い”抗体)が産生される「感作」段階から始まります。その後、同じアレルゲンに再び触れると、IgE抗体と結合することが引き金となり、ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質が放出され、くしゃみ、鼻汁、鼻閉、鼻掻痒感などの症状が現れます。

アレルギー性鼻炎は小児期に発症することが多く、特に10-30歳代で有病率がピークを示します。加齢とともに症状が軽快する例も多いですが、最近では発症年齢の低年齢化が指摘されており、5-9歳児の約30%がスギ花粉症を有すると報告されています。

アレルギー性鼻炎はどのように診断するのですか?

アレルギー性鼻炎の診断は、問診、身体診察、検査を組み合わせて行います。最も重要なのは詳細な問診で、症状の種類や出現時期、季節性の有無、家族歴などを確認します。スギ花粉症であれば、春先に決まってくしゃみ、鼻水、鼻づまりの症状が現れ、眼のかゆみも伴うことが多いです。

身体診察では、鼻鏡検査により鼻粘膜の状態を観察します。アレルギー性鼻炎では、鼻粘膜が蒼白で腫れぼったく、鼻汁が透明で水様性であることが特徴です。眼症状の有無も確認し、アレルギー性結膜炎の合併は約50-70%の患者で認められます。

検査としては、血液の特異的IgE検査が一般的です。特定のアレルゲンに対するIgE抗体を測定し、客観的な結果が得られます。血液検査で診断がつかない場合には皮膚プリックテストも行われます。腕にアレルゲンエキスを滴下し、専用の針で軽く刺して15分後に反応を判定する方法で、簡便で信頼性が高い検査です。

標準的な検査が陰性の場合、局所型アレルギー性鼻炎(LAR)の可能性も考慮します。この場合、鼻粘膜抗原誘発試験という専門的な検査が必要になりますが、実施できる医療機関は限られています。

アレルギー性鼻炎はどのように治療するのですか?

アレルギー性鼻炎の治療は、非薬物療法(環境整備)と薬物療法にわけられます。薬物療法には、アレルゲン免疫療法も含まれます。

環境整備(非薬物療法)

すべての治療の基盤となる重要な対策です。アレルゲンの回避により、症状の軽減と薬物使用量の削減が期待できます。

花粉対策としては、花粉飛散時期の外出時のマスク・眼鏡着用、帰宅時の花粉除去、手洗い・うがい・洗顔の徹底、窓の閉鎖と室内干しの実施、空気清浄機の使用などがあります。ダニ対策では、寝具への防ダニカバー使用、寝具の頻回な掃除・洗濯・交換などが効果的です。

薬物療法

いわゆる「アレルギーの薬」である第二世代経口抗ヒスタミン薬は、日本ではアレルギー性鼻炎の第一選択薬として広く使用されます。くしゃみ、鼻汁、鼻掻痒感、眼症状に有効です。

鼻噴霧用ステロイド薬は持続する症状や中等度以上の症状に第一選択薬として使用されている国も多く、鼻炎症状に優れた効果を示し、特に鼻閉に対して最も有効です。継続使用により数日から1週間で効果が現れ、最大効果には2-4週間必要です。

治療が不十分な場合には、これらを併用します。さらに補助的治療として、抗ロイコトリエン受容体拮抗薬の併用も鼻炎症状、特に鼻閉症状に効果があります。

上記の適切な治療を行っても効果に乏しい重症のスギ花粉によるアレルギー性鼻炎には、ゾレアという注射の治療を行うことができます。上記のIgE抗体と結合してアレルギー症状を抑える治療で、安全性も高く効果も期待できますが、使用に条件があることと、他の薬物療法に比べて高価であることに注意が必要です。

アレルゲン免疫療法(AIT)

アレルギー体質を改善する(アレルギーを治す)唯一の根本治療法です。アレルゲンを少量ずつ投与することで、免疫寛容(過剰な免疫反応が起こりにくくなること)を誘導し、症状の改善と薬物使用量の削減を図ります。

現在のアレルゲン免疫療法は舌下免疫療法が中心で、自宅での投与が可能です。重篤な副作用のリスクは低く、日本ではスギ花粉とダニに対する治療が承認されています。

皮下免疫療法は医療機関での定期的な注射により実施し、効果ははより高いものの、アナフィラキシーのリスクがあります。

治療終了後も効果が持続し、小児における喘息発症予防効果も報告されています。新たなアレルゲンへの感作予防効果も期待できるため、特に若い方には積極的にお勧めしています。

手術療法

最適薬物療法にもかかわらず症状が持続し、解剖学的因子が関与する症例に検討されます。下鼻甲介粘膜焼灼術、下鼻甲介切除術、後鼻神経切断術、鼻中隔矯正術などの術式があります。

まとめ

アレルギー性鼻炎は、適切な診断と治療により症状を効果的にコントロールできる疾患です。環境整備、薬物療法、アレルゲン免疫療法を組み合わせた包括的アプローチにより、患者の生活の質を大幅に改善することが可能です。

特に都市部では、大気汚染や花粉飛散量の多さから症状が重くなる傾向がありますが、適切な対策により快適な生活を送ることができます。

症状が続く場合や日常生活に支障をきたしている場合は、自己判断せずに医療機関にご相談ください。

花粉症の相談室(花粉症のFAQ)

参考文献・情報源

  1. 日本アレルギー学会. アレルギー性鼻炎診療ガイドライン2020年版(改訂第9版). ライフサイエンス出版; 2020.

  2. Bernstein JA, et al. Allergic Rhinitis: A Review. JAMA. 2024;331(10):866-877.

  3. 環境省. 花粉症環境保健マニュアル2022年版. 2022.

  4. Yamada T, et al. Present State of Japanese Cedar Pollinosis: The National Affliction. J Allergy Clin Immunol. 2014;133(3):632-9.e5.

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