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アトピー性皮膚炎

公開日:2025-11-24

アトピー性皮膚炎は、皮膚科外来で良く出会う病気です。

アトピー性皮膚炎は、正しい診断のもと適切な治療を受けることで、しっかりと良い状態を維持することが可能な病気です。

ここではアトピー性皮膚炎について、その診断や治療などについて、ガイドラインをもとに説明いたします。

Q. アトピー性皮膚炎とはどんな病気ですか?

アトピー性皮膚炎は、悪くなったり良くなったりを繰り返すかゆみの強い湿疹ができる皮膚疾患です。

患者さんの多くは、ご家族のどなたかがアトピー性皮膚炎や気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎などの他のアレルギー疾患を持っていたり、血液検査でIgE抗体の値が高いといった「アトピー素因」という特徴を持っています。

赤ちゃんから幼児の頃に発症することが多く、思春期までに落ち着いてしまう場合もあれば、落ち着かずに良くなったり悪くなったりを繰り返しながら症状が成人まで持続する場合もあります。また、多くはありませんが、思春期や成人後にアトピー性皮膚炎を発症することもあります。
アトピー性皮膚炎の皮疹は、体の左右対称に出現することが多く、年齢によって好発部位が異なります。例えば、乳児では頬や手足に多く見られ、大人では肘や膝の内側に多く見られます。

日本におけるアトピー性皮膚炎の有病率は高く、約10-15%がこの病気を患っているとされています。乳児・幼児でその割合は高く、思春期から成人になるにつれて低下していきます。
都市部では有病率が高く、これは環境要因や生活習慣が影響していると考えられています。具体的には、都市化、大気汚染、室内環境の変化などがリスクを高める要因として挙げられます。

激しいかゆみを伴う湿疹が長期にわたり、症状が続くことが多いため、生活の質を大きく低下させます。経過が長いと見た目の問題も加わることとなり、早期から適切な診断・治療が重要な病気です。

Q. どうしてアトピー性皮膚炎になってしまうのですか?

アトピー性皮膚炎は、複数の要因が絡み合って発症する慢性的な皮膚疾患です。ひとつの原因だけでアトピー性皮膚炎になってしまうということはありません。

遺伝的な要因として、アトピー素因(体質)があります。
アトピー素因とは、本人に気管支喘息やアレルギー性鼻炎・結膜炎など他のアレルギー疾患があることや、アレルギーを引き起こすIgE抗体が血液検査で高いこと、ご家族にアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患があることなどの、「アレルギーの病気になりやすい体質」のことです。
両親のどちらか、またはどちらもがアトピー性皮膚炎だと、発症する可能性が高くなることがわかっています。

皮膚は様々なアレルゲン(アレルギーを起こす原因となるもの)や刺激・ウイルスや細菌などが体に侵入することを防ぐ働きや、逆に水分が過剰に失われることを防ぐ働きを持っています。この働きをバリア機能と呼びます。皮膚のバリア機能の障害も、アトピー性皮膚炎の発症に関係しています。
遺伝的に皮膚のバリア機能に障害がある場合もあれば、生活環境などによって障害が起こる場合もあります。

血液検査などで、ダニや種々の食物にアレルギー反応がある患者が多く、これらのアレルギーが発症や症状の悪化に関与している可能性が考えられています。しかし、アレルギーがはっきりしない方もいるため、それだけが発症・悪化の原因とは言えません。

アトピー素因や皮膚のバリア機能障害に加えて、アレルギーや環境因子などが複雑に関与してアトピー性皮膚炎は発症・悪化しているのです。

Q. アトピー性皮膚炎はどのように診断するのですか?

アトピー性皮膚炎は、特有の症状と経過をもとに診断されされます。

日本皮膚科学会の診断基準では、①瘙痒(皮膚がかゆいこと)、②特徴的な皮疹とその場所、③繰り返し長く続くこと、という3つを満たすことでアトピー性皮膚炎と診断されます。
皮疹は出来立てのものと時間が経ったものでは特徴が違います。また、皮疹は左右対称性に現れることが多く、好発部位は年齢によって異なります。
アトピー性皮膚炎と診断するためには、乳児であれば2ヶ月以上続くこと、それ以降の時期であれば6ヶ月以上続くことが必要であり、症状が出てすぐの時期にははっきりと診断できません。

上記にあげた、アトピー素因があるかどうかも診断の参考になります。

アトピー性皮膚炎の診断を確定する前に、アトピー性皮膚炎に似た他の皮膚疾患ではないことを確認することも大切です。接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎などが比較的多くみられる区別しなくてはならない病気です。

診断後の治療方針を決定するために、重症度の評価が重要です。皮膚の炎症の広がりや強さを数値化する方法も、治療効果の判定や治療方針の見直しに役立ちます。

診断に必要な場合、また治療のモニタリングのために追加の検査が行われることがあります。具体的には、血液検査によるIgE抗体の測定などが行われますが、診断には必須ではありません。

Q. アトピー性皮膚炎はどのように治療するのですか?

アトピー性皮膚炎の治療の最終目標は、症状がないか、あっても日常生活に支障がなく、薬による治療もあまり必要としない状態に到達して、それを維持することです。

治療は、①薬物療法、②スキンケア、③悪化因子の対策、の3つが基本となります。
これらはどれも重要で、個々の状態や患者背景、環境により異なるため、適切な診断と評価による治療の選択が必要となります。

薬物療法の基本はステロイドの外用薬です。ステロイド外用薬はアトピー性皮膚炎の炎症を迅速に抑える効果があり、症状の重症度や場所などによってその強さを選択する必要があります。
「ステロイドを使っても良くならない」というお悩みをお持ちの方がときどきいらっしゃいますが、量が少なすぎるなど、適切な方法で治療できていないことも多くあり、医師の指示通りに使用することが大切です。副作用を心配するあまり少ない量で使用することで、良くならずに治療期間が長くなってしまうほうが体にとって問題です。
また良くなったらすぐに治療をやめてしまうよりも、使用する頻度を少しずつ減らしていってゆっくり中止する方法がよりよいコントロールに繋がります。
近年はステロイドだけではなく、他の免疫抑制剤の外用薬も病状や経過によって使用されます。

外用薬だけではコントロールできない重症のアトピー性皮膚炎には、デュピクセント®という注射薬も選択できます。費用の面でややハードルが高いですが、これまでの治療ではうまくいかなかった患者さんにとても高い効果が期待できる薬剤です。

スキンケアもアトピー性皮膚炎治療の基盤であり、入浴・シャワーにより皮膚の清潔を保つことと保湿を中心に行います。皮膚のバリア機能を改善し、乾燥を防ぐために保湿剤を使用します。保湿剤は皮膚の水分保持能力を高め、外部刺激から皮膚を保護します。適切な保湿を行うことで、かゆみや炎症の発生を抑えることができます。

悪化因子の除去も安定した状態を維持するためにとても大切です。

環境管理は、アレルゲンや刺激物の除去を目的とします。家庭内のダニ、ハウスダスト、ペットの毛、カビなどがアトピー性皮膚炎のの症状を悪化させる要因となる可能性があります。症状の経過や血液検査の結果で悪化因子と考えられた場合、これらを除去する対策が必要です。具体的には、定期的な掃除、適切な換気、寝具の清潔保持が重要です。

その他精神的ストレスが悪化の原因となったり、炎症を悪化させる掻き壊し行動のきっかけとなったりする場合があり、上記の治療でコントロールがつかない場合には、心身医学的側面も検討することも重要です。

まとめ

アトピー性皮膚炎の治療は、患者ごとに異なる症状や重症度に応じて、それぞれ個別に決定されます。正しい診断のもと、適切に治療を受けることで、症状の管理と生活の質の向上が期待できます。

当院では経験豊かな皮膚科専門医が診療にあたります。なかなか良くならない慢性的なかゆい皮疹がある、アトピー性皮膚炎と診断されて治療を受けているがなかなか思ったように楽にならない、という場合など、いつでもお気軽にご相談ください。

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