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花粉症

公開日:2025-06-05 最終更新日:2026-01-04

花粉症の相談室(花粉症のFAQ)

花粉症とはなんですか?

花粉症とは、花粉が原因となって起こるアレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎です。

日本で一番多い花粉症の原因は、ご存知、スギ花粉です。その他、ヒノキ、イネ科の植物や、ブタクサ・ヨモギなどの雑草の花粉も花粉症の原因になることが知られています。

主な症状は、くしゃみ、鼻汁(鼻水)、鼻閉(鼻づまり)、鼻掻痒感(鼻のかゆみ・ムズムズ)の4つです。また、眼のかゆみや涙目(アレルギー性結膜炎の症状)を伴うことも少なくありません。

花粉症は年々増加傾向にあります。

1998年から2008年の10年間で、花粉症全体の有病率は約20%から30%に増加しました。さらに2019年は40%を超えているという最近の報告もあります。つまり、5人に2人は何かの花粉症を持っているということです。

年齢層別でみると、2019年のデータでは、スギ花粉症では10代の有病率が49.5%となっており、2人にひとりはスギ花粉症があるということになります。20代から50代もそれぞれ40%以上と高い有病率です。

「国民病」とも言える花粉症ですが、日本だけではなく、世界各地で有病率が増加していることが報告されています。

どうして花粉症になってしまうのですか?

ご存知の通り、花粉を吸い込んだすべての人が花粉症になるわけではありません。

アレルギー体質の方がなりやすいことが分かっていますが、それ以外のことははっきりとは分かっていません。

花粉が飛散して体内に入ると、その花粉に対してアレルギーを起こすきっかけになるIgE抗体が産生されます。これを「感作」と呼び、アレルギー症状が出る準備ができた状態と考えられます。毎年花粉にさらされることで、徐々に体内のIgE抗体は増え、条件がそろうと、鼻や眼の症状が出現するのです。IgE抗体が増えれば症状が必ず出る、というわけではないのが人体の難しいところです。アレルギーを抑える別の抗体の存在も知られています。

症状の出現には、いくつもの免疫に関係する細胞や、その細胞から放出される化学物質が関係します。ヒスタミンやロイコトリエンと呼ばれる物質がその代表です。

花粉症はどのように診断するのですか?

診断は、問診(季節性に出現する症状があるか、くしゃみ・鼻水・鼻詰まり)を中心として、身体診察、血液検査(原因と考えられる花粉の特異的IgE抗体)、皮膚プリックテストなどを組み合わせて行います。

身体診察では、鼻鏡検査により鼻粘膜の状態を観察します。アレルギー性鼻炎では、鼻粘膜が蒼白で腫れぼったく、鼻汁が透明で水様性であることが特徴です。鼻汁好酸球検査などの補助的な検査を行うこともあります。

スギ花粉症であれば、スギ花粉の飛散期に、くしゃみ・鼻水・鼻詰まりの症状や眼のかゆみが毎年決まって現れていれば、かなり可能性は高いと考えられます。血液検査や皮膚プリックテストで、スギに感作されていることが分かれば、スギ花粉症の診断として良いでしょう。

花粉症はどのように治療するのですか?

花粉症の治療は、環境整備(非薬物療法)と薬物療法にわけられます。薬物療法には、アレルゲン免疫療法も含まれます。

環境整備(非薬物療法)

アレルギー性疾患の基本は、アレルゲン(アレルギーの原因となるもの)を回避することです。花粉は毎シーズンやってくるので、転居以外に離れることはできませんが、マスクやメガネを使用することや、帰宅後に花粉を払い落とすこと、すぐに入浴やシャワー浴を行うことなどで、症状を軽減することが可能です。

薬物療法

抗アレルギー薬と呼ばれる薬(第二世代経口抗ヒスタミン薬)は、ヒスタミンといったアレルギーの症状と関係する物質の作用を妨げることによって、花粉症の症状を軽減させます。くしゃみ、鼻汁、鼻掻痒感、眼症状に有効です。

鼻噴霧用ステロイド薬(点鼻薬)は、持続する症状や中等度以上の症状に使用され、鼻炎症状に優れた効果を示し、特に鼻閉(鼻づまり)に対して最も有効です。点眼薬など局所に効果を発揮する薬もあり、必要に応じて併用します。

治療が不十分な場合には、抗ロイコトリエン受容体拮抗薬の併用も鼻炎症状、特に鼻閉症状に効果があります。

重症の花粉症の患者さんには、ゾレアという注射薬があり、その効果・安全性からお勧めしています。使用するための条件(血液検査の結果が基準範囲内であることや、通常の治療を1週間以上行っても症状がひどいことなど)があることと、保険診療の範囲ではあるものの通常の治療に比べて費用がかかることに注意が必要です。

このように症状を軽減するための治療を「対症療法」と呼びます。対症療法は、病気の根本を治療するものではありません。花粉症の症状が軽い場合にはこの対症療法のみで良いことも多いですが、花粉症には対症療法とは別の治療法もあります。それがアレルゲン免疫療法です。

アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)

アレルゲン免疫療法とは、アレルゲン(アレルギーの原因)を薬として投与することで、実際にアレルゲンによって起こる症状を緩和する治療です。日本では、スギ花粉とダニの舌下免疫療法が可能です。

毎日スギ花粉エキスの薬を舌の下に投与するという治療法です。対症療法と違って、アレルギー体質を改善する(アレルギーを治す)唯一の根本治療法という意味で画期的で、世界でも現在はアレルギー治療の中心になっています。日本では近年普及が進んでいますが、欧米と比べるとまだ実施率が低い状況です。

アレルゲン免疫療法の素晴らしいところは、治療によって症状が改善する(それまで使用していた抗アレルギー薬を減量・中止できる)ことはもちろん、治療をしている患者さんの、他のアレルギーの経過も改善する可能性があることです。

例えば、スギ花粉症やダニのアレルギー性鼻炎にアレルゲン免疫療法を開始すると、その後に気管支喘息を発症するリスクを下げることが分かっています。また、ダニのアレルギー性鼻炎を合併した気管支喘息の患者さんにアレルゲン免疫療法を行うことで、気管支喘息も改善する(喘息の薬を減少できる、など)ことが分かっています。

アレルギー体質の人は、様々なアレルゲンに感作されてしまいますが、アレルゲン免疫療法を行うと、新たなアレルゲンへの感作を減らす(新たなアレルギーを発症する可能性を減らす)という報告もあります。

このような効果もあるため、「毎日の舌下投与を最低3年間(できれば4-5年)継続する」というハードルはありますが、特に若い方には積極的にお勧めしています。

花粉症の相談室(花粉症のFAQ)

参考文献

アレルギー性鼻炎診療ガイドライン2020年版(改訂第9版) 耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会

アレルゲン免疫療法の手引 アレルギー学会

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