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舌下免疫療法

公開日:2025-06-05 最終更新日:2026-01-04

現在、スギ花粉症の舌下免疫療法の開始に必要な「シダキュア®スギ花粉舌下錠2,000JAU」が、製薬会社の出荷制限により、入荷が不安定です。治療開始をお待ちのみなさんには大変ご不便をおかけしておりますが、ご了承ください。

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花粉症の相談室(花粉症のFAQ)

はじめに

2022-2023年シーズンのスギ花粉飛散量がここ数年で1番多く、スギ花粉症の症状がひどかったことで、スギ花粉症の治療としての「舌下免疫療法」が多くの方に知られるようになってきました。

重症から軽症まで多くのスギ花粉症の方にお勧めしています。

また、昔から鼻炎で・・・という方は、多くの場合ダニアレルギーによるアレルギー性鼻炎です。ダニアレルギーのアレルギー性鼻炎は、ダニの舌下免疫療法がお勧めです。以前は「ハウスダストのアレルギー」と呼ばれていたものも、ダニアレルギーであることが分かっています。

こちらでは舌下免疫療法について、Q&Aの形で説明いたします。

Q. 「舌下免疫療法」とは何ですか?

A. 舌下免疫療法は、特定のアレルゲン(アレルギーの原因となるモノ)を舌の下から体内に微量ずつ取り入れることによって行う、アレルギー性疾患の治療法の一つです。

アレルゲンを体内に取り入れることで行う治療を「アレルゲン免疫療法」と言い、現在世界で一般的に行われているものが「舌下免疫療法」と「皮下免疫療法」の2種類です。日本で「舌下免疫療法」として保険適用で治療を行うことができるのは、スギ花粉症とダニアレルギーによるアレルギー性鼻炎です。

スギ花粉症やダニアレルギーの治療としてこれまで一般的に行われていた「アレルギーの薬」は、抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)の内服や、点眼薬・点鼻薬です。これらの薬は「痛み止め」のような、いわゆる対症療法の治療でしたが、「アレルゲン免疫療法」はアレルギーそのものを治療するという点で大きく性質が異なります。

Q. スギ花粉症の舌下免疫療法を受けられるのはどんな人ですか?

A. スギ花粉の舌下免疫療法は、全てのスギ花粉症の方が受けられます。

「鼻アレルギー診療ガイドライン」でも、アレルギー性鼻炎の軽症から最重症まで、全ての重症度において「アレルゲン免疫療法」が治療の選択肢として示されています。問診や診察でアレルギー性鼻炎と診断され、血液検査などでスギ花粉が原因であることがはっきりすれば、スギ花粉の舌下免疫療法を行うことができます。

特に、症状が強くシーズン中に多くの薬物治療(抗アレルギー薬の内服や点鼻・点眼など)を行っても症状がすっきり良くならない場合や、副作用でそれらの薬を十分に使用することができない場合には、強く勧められます。

Q. ダニの舌下免疫療法を受けられるのはどんな人ですか?

A. ダニの舌下免疫療法は、ダニアレルギーによるアレルギー性鼻炎の方が受けられます。

以前は「ハウスダストのアレルギー」と呼ばれていたものも、ダニアレルギーであることがほとんどです。問診や診察でアレルギー性鼻炎と診断され、血液検査などでダニのアレルギーがあることがはっきりすれば、ダニの舌下免疫療法を行うことができます。

ダニのアレルギー性鼻炎があり、気管支喘息を合併している方には特に強くお勧めです。

Q. 舌下免疫療法はどこで受けられますか?

A. 舌下免疫療法の治療薬を処方できる医療機関は限られています。また、アレルギー学会から発行されている「アレルゲン免疫療法の手引き」には「アレルギー領域の専門的知識と経験を十分に持った医師」によって行われるべきとの記載があります。

舌下免疫療法を行うことができる医療機関は限られています。医師がウェブでの講習を受けると処方することができるようになります。受診をする前に確認が必要になります。

舌下免疫療法は比較的安全性の高い治療ですが、アナフィラキシーなど重篤な副作用の報告もあるため、緊急時の対応が可能なところで治療を受けることをオススメします。

Q. 舌下免疫療法を行うとどのような効果がありますか?

A. スギ花粉症に対する舌下免疫療法を行うことによって、アレルギー性鼻炎およびアレルギー性結膜炎の症状を軽減したり、使用する薬を減らすことができます。

アレルギー性鼻炎の症状であるくしゃみ・鼻水・鼻詰まりや、アレルギー性結膜炎の症状である涙目や目のかゆみを軽減することができます。それまでに使用していた薬を減量したり中止することができ、薬の副作用(眠気)なども減ることになります。これらの効果により、より良い生活をおくることができるようになります(生活の質の改善)。

気管支喘息を合併している患者さんでは、スギ花粉症による喘息の悪化を防ぐことも報告されています。

また、舌下免疫療法には、まだ気管支喘息と診断されていない場合でも新たに発症することを予防する効果や、新たなモノにアレルギーを起こす準備(新規のアレルゲンへの感作)も防ぐ効果が分かってきています。

Q. 舌下免疫療法を開始したどのくらいの人に効果があるのですか?

A. 現在使用されているシダキュア®スギ花粉舌下錠の効果は、個人差があるものの80-90%の患者さんに効果があると分かっています。

効果の程度にも個人差があり、30-50%程度の患者さんは著しく症状が改善し、それ以外でも薬剤を中止したり減量したりできるくらいの効果が期待できます。逆に言うと、10-20%の患者さんには満足するような効果が得られないということになります。現在のところ、どのような患者さんに効果が出やすいのかということは分かっていないため、事前に効果がどの程度か予測することは難しいとされています。

Q. 舌下免疫療法はどのような仕組みで効果が出るのですか?

A. アレルゲンを少しずつ投与することで体が慣れてアレルギーの症状を起こす抗体(IgE抗体)が減っていく、ということだけではないことが分かってきました。

以前は「減感作」とも呼ばれ、アレルギー症状を引き起こす悪者であるIgE抗体が減ることが主な仕組みと考えられていたこともありました。現在は研究が進み、舌下免疫療法によってアレルギーを起こす免疫システムが改良・改善して、アレルギーを抑制する制御性T細胞が増加することや、IgE抗体の邪魔をするIgG4抗体と呼ばれる「良い抗体」が増えることで、効果が現れていることが分かってきました。

スギ花粉症の症状改善だけに効果がとどまらないことは、このような良い仕組みが影響していることが考えられます。

Q. 舌下免疫療法は実際にどのように行われるのですか?

A. 1日に1回、アレルゲンを含む錠剤を舌の下に置いてそこから体に吸収させます。初回は院内で行い、その後は自宅で治療を継続します。

アレルギーの原因となるものを投与する治療のため、念のために初回は院内で行います。最低30分間は院内で経過観察を行い、問題なければ初回は終了となります。

2回目以降はご自宅で治療を継続します。

錠剤を舌の下に置いてから、1分間はつばを飲み込まないようにそのままで待ちます。1分たったら、飲み込んで終了です。その後5分間はうがいや飲食はしてはいけません。

また、投与の前2時間/後2時間は、入浴や激しい運動はしてはいけません。アレルゲンを摂取する治療であるため、強いアレルギー症状が出現しやすくなるこれらの行動を避ける必要があります。

Q. 舌下免疫療法中は、いつもの薬はどうしたら良いですか?

A. 舌下免疫療法を開始するにあたって、中止しなくてはならない薬はありません。これまで使用していたいつもの薬はそのまま継続してください。花粉症の薬なども必要に応じてそのまま継続してください。

舌下免疫療法は特に併用に注意しなくてはならない薬はありません。高血圧・高脂血症の薬や、気管支喘息の薬など、毎日服用しているものはそのまま継続していただきます。

舌下免疫療法の効果が出てくるまでは、抗アレルギー薬を併用することもできます。スギ花粉の舌下免疫療法であれば、開始してからの最初のシーズンでは、抗アレルギー薬を内服することも多くあります。ダニの舌下免疫療法では開始して効果が現れるまでは抗アレルギー薬を継続して、症状をみながら中止を検討します。

Q. 舌下免疫療法はいつ始めるのが良いですか?

A. スギ花粉症の舌下免疫療法は、スギ花粉の飛散期には開始できません。一般的に6月から11月の下旬頃までを開始できる期間としている医療機関が多いようです。ダニの舌下免疫療法は1年中いつでも開始できます。

舌下免疫療法は毎日繰り返し行うことで効果が積み重なっていく治療なので、次のスギ花粉シーズンまでできるだけ長く治療をしたほうが良いと考えられます。効果は2-3ヶ月で現れ始めるとされているため、1月からが本格的な飛散期と考えると11月までに開始すればある程度の効果が期待できると考えることもできます。

ダニの舌下免疫療法は1年中いつでも開始できます。

気管支喘息を合併している方は、喘息の調子が悪いときには開始できません。

Q. 舌下免疫療法はどのくらいの期間続けるのですか?

A. 舌下免疫療法は、最低3年間は続けることが勧められています。

現在使用されているスギ花粉の舌下錠であるシダキュア®は、1シーズン目から効果が出ることが多く、2-3年目でその効果が最大となる方が多いと報告されています。ダニの舌下免疫療法についても開始してから2-3ヶ月後には効果が現れ始めます。

また、過去のアレルゲン免疫療法の効果を調べた研究から、4-5年継続するとより長期的な効果が期待できると考えられています。実際の外来では「最低でも3年間、できれば5年間続けましょう」と説明されることが多いと思います。

Q. 舌下免疫療法にはどのような副作用がありますか?

A. 比較的多い副作用は口の中、喉、耳の症状ですが、多くは一時的なものです。投与初期にアナフィラキシー(=強いアレルギー反応による症状)が起こる場合があると報告されていますが、適切に服用していれば非常に稀です。

アレルギーの原因となる成分を投与するため、投与初期はアレルギーによる症状が出現する可能性があります。アナフィラキシーは命を落とすこともある全身性のアレルギー症状です。起こる可能性は決して高くはありませんが、非常に危険な副作用のため、起こる可能性が高い初回の投与はクリニックで行うことが決められています。
アナフィラキシーの対応に慣れた医療機関・医師の元で行うことが大切です。
2回目以降は自宅で行うことになりますが、投与時の注意をしっかり守りさえすれば、アナフィラキシーを過度に恐れる必要はありません。

比較的良く起こる副作用は、口の中や喉、耳の症状です。口の中がイガイガしたり痒くなったり、唇が腫れたりという症状や、喉のかゆみや違和感、耳の中のかゆみといった症状が、治療を開始した初期に、舌下してしばらくの時間帯に出現することがあります。これらの症状は治療を毎日していると徐々に軽減されて気にならなくなり、知らないうちに起こらなくなることがほとんどです。症状が強い場合には、抗アレルギー薬の内服を併用することや、服用の仕方を工夫することができます。我慢する必要はなく早めに医師に相談しましょう。

Q. 舌下免疫療法の費用はどのくらいかかりますか?

A. 舌下免疫療法は保険適用の治療です。治療開始後の1ヶ月毎の費用は、クリニックでも診察料や薬局での薬代なども合わせて、3割負担で2,000〜3,000円になります。

舌下免疫療法を開始する前に「スギ花粉症」「ダニアレルギー」の診断が必要であるため、まずはそのためにアレルギー検査を行うことになり、その費用がかかります。また初回投与のときには、舌下免疫療法についての説明や指導・院内での経過観察があり、2回目以降の受診よりも費用が多くかかります。

2回目以降の通院時は1ヶ月毎に受診する場合、クリニックと薬局で支払う合計が、3割負担で2,000〜3,000円になります。

Q. 小児は舌下免疫療法を受けることができますか?

A. 小児でも舌下免疫療法を受けることができます。一般的に5歳以上の小児に行われており、効果や副作用は成人と比べても違いはないということが分かっています。

舌の下に1分間、飲み込まないで置いておくことさえできれば、小児でも舌下免疫療法を行うことができます。5歳以上の小児に、効果と安全性のデータがあります。

長期的な効果であることや、新たなアレルゲンへの感作を防ぐ効果の可能性を考えると、早期に開始することをお勧めします。

Q. 妊娠中・授乳中の舌下免疫療法はどうなりますか?

A. すでに開始していて安定した状態であれば、舌下免疫療法は妊娠中・授乳中も継続することが可能です。

妊娠中は使用可能な薬剤も限られます。妊娠がわかってからは舌下免疫療法は開始できないことになっていますが、すでに開始して安定した状態の場合には、そのまま継続することができます。産後、授乳中もそのまま継続が可能です。

妊娠の可能性がある方は、早めに開始することをお勧めしています。

花粉症の相談室(花粉症のFAQ)

おわりに

舌下免疫療法は、しっかりとした体制の元開始すれば、安全で効果も高い治療法です。

是非ご検討ください。

ご不明な点などあればいつでも当院へご連絡ください。

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