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気管支炎(急性気管支炎)

公開日:2025-10-07 最終更新日:2025-11-22

「気管支炎」と聞くと何か特別な病気にかかってしまったようなイメージを持つかもしれません。急性気管支炎は、気管や気管支に炎症が起こる呼吸器疾患で、多くは風邪の延長として発症し、主に咳と痰が1-3週間持続して自然に治る病気です。急性気管支炎の基本的な情報をわかりやすく解説します。

急性気管支炎とはどんな病気ですか?

急性気管支炎は、気管や気管支に炎症が生じる呼吸器疾患で、多くは風邪の延長として発症します。「気管支まで炎症が及んだ風邪」とイメージするとわかりやすいと思います。

急性気管支炎の主な症状は持続性の咳(1-3週間程度)、痰(透明〜黄色・緑色)、軽度の発熱、全身倦怠感、胸部不快感などです。風邪と延長として起こることが多いので、咽頭痛や鼻水なども伴うことが多いです。

胸部X線写真で肺炎の陰影を認めないことが重要で、肺炎と区別をするポイントとなります。

気管支炎では、高熱が続いたり、呼吸困難や息切れ、血痰、激しい胸痛、意識障害や脱水症状が出現することはほとんどないため、これらの症状がある場合には他の病気を疑って検査や治療を行う必要があります。

特に冬季にインフルエンザやRSウイルスの流行に伴い患者数が増加します。多くの場合、ウイルス感染が原因で自然に軽快する良性の疾患ですが、高齢者や基礎疾患がある方では注意深い経過観察が必要です。

どうして急性気管支炎になってしまうのですか?

急性気管支炎の原因の90%以上はウイルス感染です。風邪の原因となるウイルスやインフルエンザウイルスが気管支炎を起こします。風邪のウイルスには、RSウイルス(小児に多く、成人でも感染)、アデノウイルス(咽頭炎や結膜炎を併発することがある)、コロナウイルス、ライノウイルス(鼻風邪の原因として最も多い)などがあり、大人の場合にはこれらを区別することはあまり意味がありません。新型コロナウイルスも同様に気管支炎の原因となることがあります。つまり、咽頭痛や鼻水、発熱のような症状を来すウイルスは、全て気管支炎を起こす可能性があるのです。

細菌感染は10%未満で、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ肺炎の原因)や百日咳菌(2週間以上の咳、特徴的な発作性咳嗽)などが代表です。百日咳菌による気管支の感染症である「百日咳」は小児の持続する咳嗽の原因として流行するという特徴があります。

気管支炎は、乳幼児と高齢者は症状が強く長くなりやすいという特徴があります。喫煙者は気道粘膜の防御機能が低下しており、基礎疾患(COPD、気管支喘息、糖尿病など)、免疫抑制状態(ステロイド薬使用、免疫抑制剤使用)、環境要因(大気汚染、受動喫煙、乾燥した空気)があります。

乳幼児や高齢者、喫煙者は、風邪にとどまらずに気管支炎を起こしてしまうリスクが高いことが知られています。その他、COPDなどの呼吸器疾患や糖尿病などの基礎疾患がある人、病気の治療でステロイドや免疫抑制剤などを使用している人などもリスクとなります。

気管支炎は冬季に多発します。これはインフルエンザウイルスの流行、室内の乾燥による気道粘膜の防御機能低下、換気不良によるウイルス感染の拡散が関係しています。都市部では、大気汚染や密集した環境も発症リスクを高める要因となります。

急性気管支炎はどのように診断するのですか?

急性気管支炎の診断は、症状とその経過の確認、聴診などの診察が中心となります。大切なのは肺炎を中心とした他の病気ではないことの確認です。

症状が出始めてすぐの時期は、ただの風邪と区別がつかないことも多く、対応が変わることもないため、ただの風邪なのか気管支炎なのかをはっきりさせる意味はほとんどありません。咽頭痛や鼻水などがなく、咳・痰などの症状だけの場合には、「ウイルス感染による気管支炎の可能性が高いですね」とお話する場合もあります。

ほとんどの場合は、症状とそれまでの経過についての問診と、バイタルサイン(発熱の程度など)や聴診を中心とした診察とで、肺炎などの見逃してはならない病気とは区別がつきます。問診と診察だけではリスクが高いと判断された場合には検査を追加することがあります。

風邪や気管支炎としては具合が悪すぎる場合、呼吸が荒く脈拍数が多かったり、高熱が続いている場合、聴診で異常音が聞こえた場合などは、胸部X線写真撮影や血液検査などから検査を行います。

百日咳の場合には状況によって抗菌薬などが必要になる場合があります。咳の出始めの段階で診断されることはほとんどありませんが、流行している時期に身近に百日咳と診断された方がいる場合などは、百日咳の検査が行われる場合があります。

急性気管支炎はどのように治療するのですか?

急性気管支炎の治療は対症療法が基本で、原則として抗菌薬は不要です。これは原因の90%以上がウイルス感染で、自然経過で軽快する疾患であるためです。抗菌薬を投与することで咳の期間が短くなることは非常に少なく、副作用のリスクが上回ることが示されています。

薬物療法では、症状に応じた対症療法を行います。咳に対しては咳止め、熱があれば解熱薬、痰には去痰薬が処方され、時間の経過とともに自然に治るまでの間の症状を軽減する効果が期待されます。自然に治るので、これらの薬は飲まないと治らないというわけではありません。

非薬物療法として、安静と十分な睡眠など、ゆっくり体を休めることが大切です。また喫煙している場合には禁煙がお勧めです。

急性気管支炎の合併症や注意点はありますか?

急性気管支炎の主な合併症は肺炎への進展で、特に高齢者や基礎疾患がある方は注意が必要です。対症療法を行っていても咳が悪化したり高熱が続く場合、息切れなどの症状が出現した場合には肺炎の可能性もあるため再度の受診が必要です。また熱や息切れがなくても3週間以上咳が続く場合は、気管支喘息など他の疾患の可能性があるため、やはり受診が重要です。

妊娠中の方は薬剤選択に制限があるため、必ず医師に妊娠の可能性を伝えてください。小児は重症化しやすく、特にRSウイルス感染では呼吸困難を起こすことがあります。高齢者は肺炎への進展リスクが高く、脱水や栄養不良にも注意が必要です。

まとめ

急性気管支炎は多くがウイルス感染による良性の疾患で、適切な対症療法により自然に軽快します。しかし、高熱、呼吸困難、血痰などの危険徴候がある場合は、肺炎や他の重篤な疾患の可能性があります。

症状が続く場合や危険徴候がある場合は、自己判断せずに医療機関にご相談ください

参考文献

日本呼吸器学会「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン第2版」(2025年)

厚生労働省「抗微生物薬適正使用の手引き」(2024年)

American College of Chest Physicians「Acute Cough Due to Acute Bronchitis」(2020年)

Cochrane Library「Antibiotics for acute bronchitis」(2024年)

日本感染症学会「感染症治療ガイドライン」(2023年)

American Family Physician「Acute Bronchitis: Rapid Evidence Review」(2025年)

咳の相談室(咳のFAQ)

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